お説教(土方視点)2
 

もともと和室の電灯は点けていなかったから、襖を閉めた今、部屋は真っ暗になった。そんな中でしばらく茫然としていたが、次第に腹が立ってきた。

身を守れって、じゃあどうすんだよ!警備しながらいちいち自分のケツの心配なんかしてられねえんだよ。万事屋が心配してくれたことは分かる。だがこっちの言い分も聞かずこれはないだろうが!

とりあえず、俺は自由を取り戻すべく縄抜けを試みた。警察として多少はそういった訓練もしているし、素人がいい加減に結んだものはやり方次第ですぐ緩みだすものだ。

しかし、万事屋は何か心得があるのか、その結び目は全く緩まない。手足だけでなく目を覆った手ぬぐいもそうだ。 いろいろともがいたが、ずるずると身体がずり上がるばかりで縄抜けは徒労に終わった。

しかし、このままでは腹の虫が収まらない。万事屋が帰ってくるまでになんとか自由を取り戻し、一発ぶん殴ってとっとと帰ろう。

そうだ、刀が隣の部屋にある。自分の帯を切るのは業腹だが、手が解ければ足の帯は無事に解ける。こうなったら奴の帯をいただいてしまおう。上半身を起こし、脚を尺取虫のように動かしながら襖に近づいた。

その時、である。万事屋の外階段を上がる音が聞こえ、思わず舌打ちをした。縄抜けに意外と時間を取ってしまったようだ。コンビニで何を買ったが知らないが、急に必要になったものがあるはずもなく、絶対に嫌がらせに決まっている。このなりで適うとは思えないが、へらへら嫌味を言いながら入ってくる万事屋に何かひとつでも打撃を与えられないかと算段しているうちに、襖は無情にも開いてしまった。

「・・・・」

襖が開いても何も喋り出さず、おそらく立ったまま俺を見下ろしているだろう万事屋に苛立った。

「おい、万事屋、いい加減にしろ!今なら許し…うあおっ」

万事屋は俺の襟首を掴むと、乱暴に布団へ引き倒した。

「よろ…うあっ」

そのまま覆いかぶさり、臍のあたりを舐められる。

その時ふと、違和感を感じた。

匂いが…違う?

 

 

 

普段の奴は食ってるもののせいか、いつでも甘い匂いを漂わせていた。風呂上がりでもそうだったから、もうあれは身体に染みついているんだろう。

しかし今、自分の上にいる奴からは嗅いだことのない匂いがしている。女が付けるようなものじゃねえ、香水…コロンとか言うのだろうか、俺はよく知らないが。

そいつは臍周りをしつこく舐め続けた。むずむずするが、俺はここはなんてこたあねえ。万事屋はそれを知っているからそんなことは・・・・

 

俺、今、何考えた?

 

ある可能性に気付き、俺の心臓が早鐘を打ち始めた。

いやいやいやいや、そんなワケねえ。ここは奴の家だ。他人がそうそう入ってくるはずがないだろう。

いやしかし、あのバカはよく鍵も掛けずに出かけている。盗られるものがないとはいえ誰が入り込むか分からないと、何度か苦言を呈したことがあった。

誰が入り込むか分からない・・・

 

「よろ…ずや…?」

声を掛けても何も答えない。いつもより武骨な触り方で太股を撫でたり引っ掻いたりしてくる。まるで男の身体を触るのが珍しいかのように。

普段の奴は首筋や耳をしつこく舐めてくる。そしてまるで甘えるようにキスを繰り返すのだ。こんな…いつもと違いすぎる。

「何、黙ってんだ。いつもベラベラうるせえくせによ」

笑いながら言ったつもりが、声が震えているのが情けねえ。

一度湧きあがった疑惑はどんどん膨らんで、全ての状況がそれを裏付けているような気がした。そういえば、コンビニに行ったわりに帰りが早すぎないか。焦りもあり時間の感覚が鈍ったかと思ったが、やはりどう考えても早すぎる。これは本当に万事屋なのか?なぜ何も喋らない?あいつはこんな時いつもくだらない言葉を投げかけて俺が恥ずかしがるのを楽しむドSだ。

「ちょっ・・やめ・・」

声だけじゃなく、身体も震えだした。

見知らぬ男から撫で繰りまわされているかと思うと、その手が触れるところ全てに悪寒が走った。

「ふっ…万事屋あっ!いい加減にしろ…分かってんだよ、お前が悪ふざけして…ああっ」

悪寒を生む手が俺のムスコを掴むと乱暴にしごき始めた。

「あっ、いつっ…」

労りも優しさもない。痛いくらいだ。恐怖もあいまってそりゃあ勃つわけねえ。

そいつは舌打ちをしてそこから手を放すと、どこかに唾を吐いたようだ。そしてすぐにぬるりとした手が後ろに触れ、その行為の意味が分かった。唾を潤滑油代わりに後ろを解しているのだ。

「痛っ…やめ…」

十分に解れぬまま、指が二本に増やされた。唾液はすぐに乾いてもう役目を果たしてはいない。それも分からないのか、とにかく広げようとグイグイ指を突っ込んでくる。

「いああああっ」

もう、間違いない。こいつは万事屋じゃねえ。

 

 

 

指を三本に増やされ、二、三度動かされたところで、いきなりその行為は終わった。

快感を少しも伴わない、ただおぞましいだけのそれに、もう俺は限界寸前だった。

息が上がり、気付けば、目を覆っていた手ぬぐいがじっとりと濡れている。

奴と違って下手だから厭なんじゃねえ。

優しくしてくれ、なんて望んじゃいねえ。

脚を戒めていた帯が解かれ、膝を抱えられた。

万事屋…銀時じゃねえと厭なんだよ!

「いやああっ 銀時!ぎんときぃっ…」

ついにタガが外れた。

死に物狂いで抵抗するも、膝を抱えた腕はがっしりとしてビクともしない。そして男のブツが俺の入り口に触れる。

「ぎんっ…ぎんときじゃないとイヤだああ!畜生、どこ行きやがったクソ天パが!」

 

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